2017年6月10日土曜日

やや日めくり憲法69条 内閣不信任

<憲法69条>
内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

これは、
(1)衆議院で内閣不信任案が可決されたとき、
あるいは
(2)衆議院で内閣信任案が否決されたときには、
内閣は、10日以内に、衆議院を解散するか、総辞職(大臣が全員辞職)するか、どちらかの決断をしなければならない、という意味ですね。
何も決めないで10日を過ぎた場合には、総辞職したことになります。

日本は、内閣総理大臣(首相)が議院の多数派の中から選ばれる「議院内閣制」をとっています。
そして、立法府である衆議院が「内閣の不信任権」を持ち、行政府である内閣が「衆議院の解散権」を持って、お互いにバチバチとにらみ合いをきかせて対立することによって、権力のバランスを図ろうとしているのだ、といわれています・・・が。
ちょっと待って。
内閣は国会の多数派で作られますよね。
そうすると、野党が「内閣不信任案」を提出しても、与党や与党に近い政党が議席の過半数を占めているかぎり、可決されることなんてあり得ないんじゃないでしょうか?

実際、日本では戦後70年の中で、内閣不信任案が可決された例は、わずか4回しかなく、ヨーロッパでも同じように、不信任案の可決例は少ないようです。
「不信任権」vs「解散権」のバチバチのにらみ合い、という理解は、現実とは違っているのかもしれません。

ところで、どうして野党は、否決されるのがわかっているのに「不信任案」を提出するのでしょうか?
審議の引き延ばし?
パフォーマンス?
しかし、実際のところ、与党がガッチリと支えている内閣に対抗するには、野党には、それくらいしか手段がありません。
また、その時点で争点となっている重要法案について、「この『悪法』を作ったのは内閣を信任したこの議員たちである」と示すこともできます。
次の選挙で、国民に判断してもらう手がかりになる、というわけですね。
あるいは、不信任案が出されれば、与党議員であっても、不信任案に白票を投じたり、棄権したり、あるいは賛成したりすることで、国民から不評な内閣に「自分は加担してないよ」とアピールできます。
与党内で「あの人は首相としてもうダメだ」というムードが生まれたときには、野党の出した不信任案が一つのきっかけとして政局が動くこともありうるでしょう。

ただ、少なくとも、その不信任案がきちんと機能するためには、与党議員が、「あの人が首相で本当にいいのか?」と自分の頭で考えて投票できることが必要ですよね。
あるいは、与党が単独で過半数にならない議席数割合になるような選挙制度を作ると、野党たちが一丸となって不信任決議をすることも可能になり、国会と内閣とのバチバチのにらみ合いが生まれるかもしれません。

国会と内閣の力関係は、どういうバランスが良いのでしょうか?
長期に政策方針が「安定」はするけど、「独裁」にもなりうるバランス。
政権と政策が変わりやすく「不安定」だけれど、「多様な意見」が反映されやすいバランス。
「ねじれ国会」という批判が妥当だったのか、という問題でもありますね。