2017年7月8日土曜日

やや日めくり憲法 77条 最高裁判所が規則を作ります

77条(最高裁判所規則制定権)
「1 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
 2 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
 3 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。」

76条に引き続き、「司法権の独立」に関する条文が続きます。
76条3項は、一人一人の裁判官が独立してるんですよってことを書いていましたね。
今日から説明する77条などの規定が、制度の面からも、裁判官の独立を支えています。

77条は、1項で、裁判の手続、弁護士・裁判所の内部のきまり、裁判に関するアレコレについて、最高裁判所が規則を作りますよ、と書いています。
「刑事訴訟規則」や「民事訴訟規則」といった規則がこれにあたります。あまりなじみがないですよね?

なぜ、最高裁判所が規則を作るということになったんでしょうか。
裁判についてのアレコレに、内閣や国会に細かく口を出されたら、裁判所が自分でいろいろ決めることができなくなっちゃいますよね。
裁判所のなかでは、最高裁判所の監督がちゃんと行き届いていることも必要だとされます。
また、裁判所は実際に裁判をやっているわけで、いちばん詳しいわけですから、裁判所の判断を尊重してもいい、というわけです。

裁判というのは、実際のもめごとに際して人権を実現したり、ときには人権を制約することを認めたりするものですから、
個人の権利・自由の保障という「立憲主義」を支える極めて重要な役割を担っています。
もっとも、権利は時として多数者によって侵害されることがあるため、裁判所は、政治権力から一定の距離を置くべき、ともいえます。
昔は、裁判をする権利は権力者が持っていました。
でもそれを切り離して、法と道理にかなった裁判を受けたいという人々「不断の努力」(12条)の積み重ねが、司法権の独立の考え方につながっているといえます。

ところで、いくら「裁判官は独立だ!」と言ったところで、裁判制度自体が政治権力に左右されるのであれば、裁判官も安心して仕事ができないし、私たちも裁判所を信頼してもめごとの解決を任せることはできませんよね。
そこで、憲法77条は、裁判制度についての細かいアレコレを、一番よく分かっている裁判所に委ねることによって、司法権の独立を制度として支えているのです。

最高裁判所が裁判部門の全てを取り仕切ることになって、国民のコントロールが及ばないんじゃないか?という疑問も浮かんできます。
裁判所が情勢の変化をふまえることも大事ですが、大衆に流されすぎる裁判所というのもキケンな気がしませんか?
政治権力だけでなく大衆からも独立した裁判所・裁判官のもとでこそ、国民が正しく裁判を受ける権利(32条、82条)が保障される、という考えがあらわれた規定だと思われます。

ちなみに、77条2項では、「検察官」だけが規則に従わないといけないような書きぶりですが、私たち弁護士も、ちゃんと裁判所規則にのっとって裁判活動をしていますよ^^念のため。