2017年7月3日月曜日

やや日めくり憲法 73条<内閣の職務>


内閣は,三権分立のもと,行政権を司る役割をもった機関です。


立法権は国会,司法権は裁判所と,

それぞれの役割はけっこう明確なのですが,

行政権の仕事は膨大で不明確です!


このへんのことは,65条(6月5日)でも触れましたね。


本日7月3日の73条は,

そんな膨大で不明確な行政権を司る内閣の具体的な仕事を,

書いています。


内閣総理大臣ではなく,

多くの国務大臣も含めた組織としての内閣の仕事です。


柱書で,「一般行政事務の外」とした上で,

7つの項目を特に書き出しています。




第七十三条    内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。

   法律を誠実に執行し、国務を総理すること。

   外交関係を処理すること。

   条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。

   法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。

   予算を作成して国会に提出すること。

   この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。

   大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。




ここで書き出された7つの項目も,

「一般行政事務」に含まれるって言えるのですが,

あえて明記するほどに重要な事務だということです。



さて,私は今,タイムリーにここに注目したい,

というのがあります。


第4号の,

「法律の定める基準に従ひ,官吏に関する事務を掌理すること」

というところです。



官吏というのは公務員です。

公務員が「全体の奉仕者である」ことは,

憲法15条(1月5日)で確認済みですが,


その公務員の仕事が,

公平公正であることを,

内閣が掌握するつまり,

管理監督するというのです。

選挙で選ばれていない公務員に対し民主的コントロールを及ぼすのです


民主的に選ばれた国会議員の中から

さらに民主的に選ばれた内閣総理大臣が組織する内閣が管理監督するからこそ,

公平公正な公務員の仕事が遂行されると・・・




行政権を司る内閣が,

公務員の仕事を管理監督することなんて,

わざわざ「書くまでもなく言わずもがな」

なワケですが,


それでも敢えて憲法の条文に,

取り出して書いているところに,


公務員の公平公正を司ることが,

内閣の重要な仕事ですよという,

憲法が内閣に込めたメッセージがあるのです。




みなさん,もうここらあたりで,

このタイムリーに気付いていただけたはず。


加計学園(かけがくえん)ですよ。


公務員がいわずもがなの公平公正に

仕事をしようとしているのに,


当の内閣が,内閣総理大臣も,内閣の官房副長官も,


内閣のド真ん中から,

「むしろこっちにこうしてだな」

なんて指示が飛んだというのです。


そして,公平公正に仕事をしたいと言った公務員のことを・・・




憲法は,公務員の公平公正が

極めて重要だからこそ,

民主的に構成された内閣に,

その管理監督を委ねたはずです

(公務員の権力を制限するという立憲主義的な発想です)


ところがその内閣が,

管理監督する立場を逆手にとって,

公務員の公平公正を否定して,


内閣総理大臣の私的な気持ちに応えるように指示をする・・・。




今回の加計学園の問題が,

実は,憲法の根本を覆すような問題であることも,

憲法73条をひもとくとわかるのです。


この点だけをとってみても、

憲法の重要性

憲法を無視することの無茶苦茶さが分かるってもんです。