2017年9月21日木曜日

特に重要なテーマもない自己都合解散…えっ,許されるの?「丁寧な説明」はどこへ?


 臨時国会の冒頭で衆議院が解散されるそうですね。

 突然降ってわいたような話ですが、TVではずいぶんと
「解散権は首相の専権事項だから」
「衆議院議員は常に解散の可能性を頭に入れておかなければ」云々、
問題がないかのようなコメンテーターの発言が、けっこうありますね。


 でも、憲法にはどこにも「解散権は首相の専権事項」という言葉は
ありません。
 解散について触れている条文は、つねに「内閣は」です。首相が解散
したいと思えば、解散に反対する閣僚を罷免すれば可能だから、事実
上首相の思い通りに解散できる→首相の専権事項、という考えのよう
です。

 そして「解散できる時」について何の規定もないから、首相はいつ
なんどきでも、どんな理由でも衆議院を解散できる、という理屈が、
肩で風を切って歩いているのかな、と思います。


 解散権に制限がない憲法、というのは諸外国と比較してもかなり少数で、
例えばイギリスでは近年、首相の解散権に歯止めをかける法改正が
ありました。
 立法をつかさどる国会と、行政を司る内閣が、抑制均衡の関係に立ち
つつ、国会からの信任をバックに行政をしくのが議員内閣制です。
その関係を保たせるために、憲法は内閣に解散権を与えました。

 首相や政権の党利党略のため、あるいは「今ここで選挙すれば勝てる
だろうなと思ったから」という100%自己都合の解散など、憲法が「いいよ」
と許しているわけがない、と考えるのが常識…ですよね。

 唯一、「衆議院で内閣不信任案が可決された時に解散できる」という
69条の規定がありますから、それに匹敵するほどの事情が必要、と
考えるのが合理的でしょう。
 つまり、「解散して民意を問わないことには、民主的正当性のある政治
を責任持って行えない」というような事情が求められるはずです。

 (解散権についてもっと知りたい方は、憲法カフェへGO!)
 
 今回の衆議院解散、どこに大義があるのか、分かりません。
 解散してから「大義」を探しているような気配すらあります。
 森友学園に国有地をタダ同然で払い下げた問題、加計学園に異常な
ほど有利に認可をおろした問題、国民は説明を求めています。
 野党はずっと臨時国会の開催を求めてきましたが、これを無視し続けた
首相は、一刻も早く首相は説明する義務があります。

 それに、北朝鮮が核開発を止めない問題で、「対話は無駄骨」と言い
放った首相は、国連でも「とるべきは対話ではなく圧力だ」と好戦的な
演説をしました。どんどん、どんどん、北朝鮮を追い込んで、緊張関係を
高めたいという意欲が感じられます。
 なので、Jアラートを鳴らしてまで「今は有事だ」と言わんばかりに国民の
不安を高めておきながら、え、解散???という疑問もありますね。
今はめっちゃ緊急事態なのでしょう?選挙なんかやってていいの?

 昨年は、「大災害時などの緊急時に選挙で国会議員が国会を空けて
いたら対応できない!だから緊急事態条項が必要だ!」と言って改憲を
主導しようとしていたのは、ほかでもない自民党ではありませんか…。

(ウラを返せば、選挙をやる余裕があるのだから、Jアラート鳴らしてる
けど緊急事態じゃないんだなって安心しますよねw 原発も止めないし。)


 直感的に「あぁ、そんなに国会審議がイヤなのか(追及から逃げたいの
か)」と感じますが、理屈的に考えても、解散の必要性も合理性も、
見当たりません。
 そこにあるのは、「民進党に人気が無い今、選挙をやれば勝てる」
「野党共闘がうまく進む前に選挙しちゃえ」という、単なる自己都合。
 
 特定秘密保護法、
 解釈改憲、
 安保法制、
 共謀罪…
 この4年半の安倍政権の「立憲主義を壊す政治」の、続きは、もう
見たくないな、と思います。

2017年9月19日火曜日

首相が「対話は無駄骨」と言ってしまう国の、立憲主義の立て直し方


 安倍首相は米紙ニューヨーク・タイムズに寄稿し、核・ミサイル開発を
進める北朝鮮への対応について
 「国際社会は団結し、制裁を完全に履行しなければならない」
 「対話を呼び掛けても無駄骨に終わるに違いない。北朝鮮の目には
諸外国が屈したとさえ映りかねない」
 と、呼びかけたそうです。

● 「対話呼び掛けは無駄骨」=安倍首相、北朝鮮制裁で団結訴え(時事)
 https://www.jiji.com/jc/article?k=2017091800272&g=prk 


 これが戦争放棄した国のリーダーの言葉かと思うと…悲しいですね。
悲しくて、がっかりします。
 まさか、真っ先に対話という選択肢を棄てるのが日本だとは。
 あの国は、立憲民主主義国家じゃなかったっけ?違ったっけ?と諸外国
から不審がられても仕方ありません。


 立憲主義とは、「国民が自分たちの自由や人権を守るために、権力を
憲法でしばる」というものですが、憲法を制定すればもう安心、というわけ
ではありません。

 現実には、憲法で保障されているはずの自由や人権を、いくらでも制約
してしまう法律が作られてしまったり、制度が運用されてしまったりします。

 そんな時、国民は「いつか立派な政治家が変えてくれるでしょう」とか、
「だれかヒーローが現れて権力と戦って世直しくれるでしょう」とか、ただ
待っているだけでは、なにも変わりません。変わるどころか、マジョリティの
都合よいだけの、きゅうくつで生きづらい社会が深化してしまうだけです。

 自分の自由は、自分で守る。権力が自分たちの憲法を無視するなら、
「そんな政治家は要らない!」と強くNOを突きつけて、政治の場から退場
してもらう。そういう意思表示をし続けなければなりません。
 立憲主義は、究極的には、国民が社会を「憲法を守らない政治家なんて
要らない」「憲法を無視する政治は許されない」という空気で満たし続ける
ことで、どうにか守り抜けるのです。

 …正直、めんどくさいですね。毎日政治のニュースとにらめっこなんて。
 でも、そういうめんどくさい営みでしか、自分たちの自由は守れない。
だから、やるしかない。民主主義という政治システムは、その「めんどくささ」
を引き受けたシステムだ、ともいえます。


 だから、こうやって首相が堂々と「対話なんて無駄骨だ」と、とっても好戦的
なことを言ってのけてしまうのは、ウラを返せば「憲法無視して、こう言っちゃ
ったところで、国民は許してくれるし、支持率は下がらないだろう」という見積
もりがあるからです。
 この報道を見て、脱力してるだけでは、立憲主義は壊れていくだけです。

 「憲法があるのに、まるで戦争を引き起こしたいかのような発言は許せま
せん」と新聞に投書してみませんか。
 あるいは「首相のこういうひどい言動を、もっと報道して下さい」とTV局に
メールしてみませんか。
 地元選出の与党議員に「首相がこんな憲法を無視したままでは、与党には
票は入れられません」とFAXしてみてもいいかもしれません。

 みなさん一人ひとりの、「自分なり」の声の上げ方があります。

 みんなが「自分なりの」声を上げれば、必ず政治は動きます。
 必ず、立憲主義も立て直せます!
 

2017年9月14日木曜日

9月16日(土) 竪十萌子弁護士の憲法カフェ@朝霞☆



 安倍首相が突如提案した「自衛隊を憲法に明記する」改憲案が、
自民党から国会に出されようとしています。
 首相は「憲法違反の存在だと言われ続ける自衛隊員がかわいそうだ」
…という、いわゆる“お涙頂戴”のような同情論を誘って呼びかけています。

 でも、「そうだねー、かわいそうだから明記してあげよう」で済まされる
話なのかな?と立ち止まることが必要です。

 自衛隊は(法理論的に憲法違反かどうかは置いておいて)、国民から
頼られる存在になっています。でも、その信頼は、災害救助で奮闘する
姿、一人も殺さない専守防衛に徹底する姿、を見続けてきたからだと
思うのですが、間違いでしょうか?

 国民に広く受け入れられてきた自衛隊は、一発も人に銃を撃たずに
人命救助に励んできた自衛隊です。
 でも、その自衛隊を、“同盟国の戦争に参加する事実上の軍隊”へと
変質させてしまったのは、ほかでもない安倍政権です。
「そんなつもりで入隊したんじゃない」と戸惑う隊員の方もいるでしょう。
 まさか憲法9条があるのに、専守防衛どころか、先制攻撃しかねない
暴力装置になってしまうとは。
 その変質してしまった自衛隊を、憲法に書き込む… カンの良い方は、
たとえ憲法をあまり知らなくても、「ヤバい」ことにお気づきでしょう。
安倍首相に「自衛隊員がかわいそうだ」と言う筋合いがあるとは思え
ません。


 首相や自民党が進めようとしている改憲の危ういロジックを、今すぐに
でも知ってください。
 私たちの当たり前のような平穏な生活が、どれだけ憲法に支えられて
いるものか、考えてみる入り口になるよう、あすわかは日々憲法カフェや
SNS発信など、がんばります!
 
 さて、10月1日は、埼玉の朝霞で竪十萌子弁護士の憲法カフェが
開かれます(^^)/    

*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○

朝霞憲法カフェ
 憲法知って子ども達の未来を守る



日時: 9月16日 13時半~16時


場所: 朝霞市中央公民館 コミセン


参加費: 500円(コーヒー付き)/学生無料


講師: 竪十萌子弁護士
(子育て中のママさん弁護士・明日の自由を守る若手弁護士の会)



10月1日 「太田啓子弁護士 安倍改憲を斬る」@豊橋☆



 自民党は、近日中に憲法9条の改正案を国会に提出するそうです。
  
● 9条改正たたき台10月にも 自民改憲本部が議論再開(産経)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170913-00000073-san-pol


 首相は「スケジュールありきではない」と、柔軟な姿勢を見せていた…
ような気がするのですが、ポーズだったのでしょうか。ね。
 国会の憲法審査会では、まだぜんぜん「そもそも憲法を改正する必要
がどこにあるのか」の議論が熟していません。というか、国民の間にそん
な議論はありません。憲法になにが書かれているのか、よくご存じない方
が大多数だからです。

 言いたいことを表現し、信じたい宗教を信じ、なりたい職につき、愛する
人と結婚する…そんな当たり前の生活が、今の憲法がなかった72年前
には不可能だったこと、あまりにもみんな、忘れてしまっていませんか?

 そして、なぜ日本が戦争放棄して軍隊を持たないという大きな大きな
決断をしたのか、ほんとに「理想論だよね」と一蹴されてしまうようなバカ
げた考えなのか、真正面から向き合って考えてみませんか。
 
 太田啓子弁護士が、愛知県豊橋で改憲の行方などについて講演します☆


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「太田啓子弁護士 安倍改憲を斬る」


日時: 10月1日13:30~

会場: カリオンビル5階会議室
    (豊橋市松葉町2丁目)

参加費: 800円(高校生以下・障がい者は無料)

主催: 安保法制の廃止を求める東三河の会

連絡先: 東三河労連0532-54-2011


2017年9月12日火曜日

9月19日(火) 楾弁護士の「檻の中のライオン」カフェ@川崎多摩区☆


 北朝鮮がミサイルを撃ったり核実験をしたり、平和への挑戦が続き
ますが、それに対する日本政府の反応も、とても危ういもののように
感じます。

 どの国も対話による解決という選択肢に重きを起き続けている中、
安倍首相(日本)だけは「異次元の圧力を」。い、異次元…!?
(圧力でどうにか抑えられるなら、もうとっくに抑えられているはずです。
北朝鮮に「核開発をする動機」を失わせることが、一番の近道なのでは?)

 憲法で戦争放棄した平和国家のリーダーの発言とは到底思えない
発言です。
 こうやって、憲法を無視することを常態化させることで、社会全体に
「憲法って大したもんじゃないのかな」という空気を充満させようという
つもりなら、不誠実のきわみです。
 
 他国を危険だとか脅威だとか言う前に、自ら謙虚に憲法に縛られて
いる身だと自覚して誠実に政治をしていただきたいと、願わずにはいら
れません。
 なぜ70年前、日本は戦争放棄をしたのか。
 なぜ「もう軍隊も要らないや」と決意したのか。
 それは単なる「もうこりごりだ」という衝動だけではないはずです。
 9条はじめ、そもそも憲法がどんなものなのか、「憲法で権力をしばる」
とはどういうことなのか、ぜひ憲法カフェで知ってみて下さい。

 楾大樹弁護士の憲法カフェツアー、最終日は川崎で午前と午後の2回!


*・゜゜・*:.。..。.:*・*:゜・*:.。. .。.:*・゜゜・**・゜゜・*:.。..。.:*・*:゜・*:.。. .。.

 檻の中のライオンin川崎・多摩区 
               午前の部/午後の部


日時: 2017年9月19日(火)
   午前の部10:00~12:00 
   午後の部13:30~15:30


定員: 14名


会場: Coconut Dream 
      神奈川県川崎市多摩区東生田1-17-4A


参加費: 1,500円 (Coconut Dreamのお茶菓子付き)


申込: tamaku.ws@gmail.com 


FBイベントページ
  https://www.facebook.com/events/1902212330002507/?fref=ts



<オリライグッズの注文フォーム完成★☆★>

 https://ameblo.jp/hando-law/entry-12308279591.html

 憲法カフェの会場で販売されてきた人気商品
(憲法条文クリアファイル・Tシャツ・マグカップ・缶バッジetc)
などの注文を受け付けております♪




9月18日(祝・月) 楾弁護士の「檻の中のライオン」カフェ@横浜&溝の口☆


 自民党の高村副総裁は「いまの勢力図の方が発議はしやすい」と、
来年の通常国会での発議を目指す気満々のようです。

● 自民・高村氏「衆院解散前の改憲発議望ましい」(読売)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170907-OYT1T50025.html


 たしかに、改憲したい方々にとって、衆参両院で3分の2以上を“改憲派”で
確保できている今は、絶好のチャンスですものね…
 いやいや、、、どこに改憲のニーズなんてあるのかな(-_-)と。国民が突き
上げているわけでもないのに、勝手に権力ある人達の執念だけで進められる
のはゴメンです~。

 「なぜこんなにも、山積する課題そっちのけで改憲を進めようとするのかな?」
 「そんなに自民党は今の憲法がキライなの?なぜ?」
 「憲法って生活に密着しているようには思えないけど…どんな感じで大切なものなの?」
 いろいろ、疑問がわいてきませんか。

 楾大樹弁護士が、パペットたちと共に分かりやすく教えてくれますヨ☆
 「檻の中のライオン」カフェ、ぜひぜひお気軽に御参加下さい(^^)/
 9月18日(祝・月)は、午前は横浜、午後は溝の口で開催されま~す♪


*☆*――*☆*――*☆*――*☆*――*☆*――*☆*――*☆*――*☆*――

① 檻の中のライオンin横浜・泉


日時: 2017年9月18日9:45~11:45


会場: 横浜市泉区民文化センター テアトルフォンテ
   横浜市泉区和泉中央南5-4-13

参加費: 大人500円 高校生以下無料

主催者: 生活クラブ 泉コモンズ

申込: izumi.coms@gmail.com

FBイベントページ
 https://www.facebook.com/events/1621192681264633/?fref=ts



② 檻の中のライオンin川崎・溝ノ口

日時:9月18日(祝日・月曜日)14:00~16:30
  (受付は13:30~)


場所:高津市民館 第5会議室(ノクティ2 12階)
   *JR武蔵溝ノ口駅北口または東急溝の口駅東口から徒歩2分
    *駅とペデストリアンデッキで直結しているノクティ2の12階
   http://www.city.kawasaki.jp/takatsu/category/111-11-1-8-0-0-0-0-0-0.html


会費: 大人1000円 中高大500円 小学生以下無料

主催: おでぶな会

申込: odebunapeace9@yahoo.co.jp

FBイベントページ
  https://www.facebook.com/events/235822690245367/?fref=ts



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2017年9月11日月曜日

9月17日(日) 楾弁護士の「檻の中のライオン」カフェ@小田原☆



 一気に夏から秋へと季節が変わろうとしていますね。
 食欲も芸術も読書も、なんといっても秋です!
 学びの秋です!

 日本国憲法を解説した本としては驚異のベストセラー『檻の中のライオン』、
もうお読みになりましたか?
 作者の楾大樹弁護士の憲法カフェツアーが、今月17日からスタートです☆
 今回のツアーは神奈川を行脚!スタート地点は小田原です(^^)/


*・゜・*:.。.*.。.:*・☆・゜・*:.。.*.。.:*・☆・゜・*:.。.*.。.:*・☆・゜・ 

 檻の中のライオンin小田原 まなび場企画Vol.3 
  ~なるほど!スッキリ!憲法のハナシ~



日時: 9月17日(日)14:30~17:00 


会場: ササキ塾一階 フリースペース 
    (旧チャルカフェ)
  小田原市国府津3-14-3 JR国府津駅より徒歩3分 
  駐車場はコインパーキングを


参加費: 1,000円

申し込み:manabiba55@gmail.com 


FBイベントページ: https://www.facebook.com/events/299912903805488/?fref=ts




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2017年9月9日土曜日

やや日めくり憲法99条 憲法を守らないといけないのは誰?


 みなさん、これまで憲法を日めくりでみてきましたが、振り返るといろいろな人たちが登場しましたね。

 だいたい登場順にいうと、

 ① 天皇

 ② 私たち国民

 ③ 公務員

 ④ 弁護士

 ⑤ 国会議員

 ⑥ 総理大臣

 ⑦ 裁判官

 

 さて、この中で、憲法というルールを守らなければいけないのは、誰でしょう?

 

 これは憲法カフェ定番クイズのひとつ。答えは、この99条、憲法の実質最後の条文に書いてあります。



99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。





 そうです、答えは①③⑤⑥⑦。つまり国家権力の側にいる人たち、②国民と④弁護士以外です。ちなみに憲法カフェでは④に引っかかる方がけっこういらっしゃいます。弁護士も権力を持っているように感じられるのでしょうか・・・、でも弁護士はただの民間人、国民の一部ですね。



 これまで繰り返しお話ししてきたように、憲法とは、国民(市民)ひとりひとりがそれぞれ自分らしく自由に暮らし、幸せに生をまっとうすることができるようにするためにあるもの。そのために、国家権力に対して、国民の○○という自由を侵害してはいけないだとか、国民のために○○というサービスをしなさいだとか、命じるものです。



 憲法をどうしても変えたい方々は、「今の憲法は自由や権利ばっかりだからおかしい。自由には義務や責任が伴うはずだ。」としきりとおっしゃいますが、それこそが「おかしい」お話、なんですよね。もともと、憲法とは国民の自由や権利を、国家権力が踏みにじることのないように、その手枷足枷として存在するものなんですから。これが「立憲主義」ですね。

 そして、憲法に定められた国民の自由や権利は、もともと、「他の人の自由や権利を害してはいけない」という意味において、義務や責任を伴うものでした。「ひとりひとり」がそれぞれ自由や権利を持っているのだから、当然ですね。

 

 さて、私たちあすわかが一貫してその危険性を発信し続けている自民党改憲草案ですが、この99条を、以下のように変えようというのです。



1 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。

2 国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。



 これはまさに立憲主義の否定、憲法を憲法でなくすものといっていいでしょう。憲法は国民の自由を守るもの。私たち国民が、権力者に対して、憲法を守れと命ずるものです。

その憲法が、私たちの心の中にまで踏み込んで、憲法を「尊重」せよと命ずるなんて、まさに「アベコベ」な話です。

 

 他方で、本来憲法を守らなければならない権力側の方々(しかも天皇・摂政が除かれてしまいました!)の義務からは、「尊重」が消え、単に「擁護」義務だけになっています。彼らの義務を軽くしたい、薄めたい、そんな意識が見えるようです。

 

 かつて、日本国憲法を「いじましい」とか「みっともない」などとさんざんにこきおろした国会議員がいました。現在は総理大臣ですが、いずれにしても彼は、憲法「尊重」擁護義務を負う立場にあるわけですから、こうした発言は完全に憲法違反です。



 他方、国民は、いくらこの憲法を嫌おうがこきおろそうが、19条があるから完全に自由。でももしも、国民の憲法「尊重」義務が憲法に定められてしまうと、これは憲法が許した19条の例外だと位置づけられてしまいます(ちなみに、自民党案には、「国旗」と「国歌」についても、国民の「尊重」義務が明記されています)。

 国民の心の中にまでずかずかと立ち入って、自由を拘束しようという自民党案。本当に怖い話です。

 

 私たちあすわかは、これからも、ひとりひとりの自由と幸せを守る日本国憲法を大切に生かしていくために、不断の努力を続けます。





11条からはじまった「やや日めくり憲法」シリーズ、来月からは1条に戻ります。お楽しみに!

2017年9月8日金曜日

やや日めくり憲法98条 国の最高法規


 いよいよ、憲法の最終盤、98条です。

 

1項 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

2項 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

 

要するに、国のきまりの中で憲法が一番強いんです。

そのため、憲法に違反する法律も命令も無効です。

「国権の最高機関」である国会(41条参照)で作った法律ですら、憲法にはかないません。

 

なぜかというと、

法律はあくまで主権者である国民の代理人である国会議員が作るものですが、

憲法は、国民自身が直接作る(投票する)ものだからですね。

 

この、
たとえ国会で作った法律でも、憲法に定める基本的人権を侵害した場合には違憲無効となる
というのは、81条のところでもやりましたね!

 
 要するに、多数決が絶対なのではなく、個人の尊重(13条)が絶対なのです。

なので、多数決(国会)で決めたことでも、個人の尊重(憲法)を侵害することは許されないのです!

 

これは、まさしく、
国民の権利・自由を守るため、憲法で公権力(国会)の行使を縛る
という立憲主義の表れの最たるものといえます。

96条97条、99条も同じように、立憲主義の表れですね。

 

 当然ですが、天皇が誰よりも偉い明治憲法では、こんな条文はありませんでした!

 

 

2項は
自分で入るって決めた条約と国際慣習法には従うよ
ということを定めています。

ごく当たり前ですね。

 

で、憲法と条約では、どっちが強いかというと、憲法ということになります。

なぜなら、条約を締結するかどうかは、国会の判断で決められます(61条)。

そういう意味では、法律と一緒ですよね。だから、憲法が優先します。

 それに、もし条約が憲法より強ければ、
 条約を締結することで、主権者たる国民の投票をせずに、
 憲法改正(96条)と同じことができちゃいますもんね。
 それはおかしい。


 安保関連法の成立時に話題になった砂川事件判決でも、
 憲法が優先することを前提としているとされています。

 

 ただし、2項は、あくまで自分で入るって決めた条約に限られます。

 なので、日本が参加していない条約については守る義務はありません
   (まぁ、当たり前ですね)。

 なので、この条約に入ってほしい、それが国民の権利・自由を守ることにつながる!
 って思ったら、そのことをいまの国会と内閣に伝えなければなりません。

 
 みなさんは、
 日本に参加してほしい(とか一部だけじゃなく全部入ってほしい)条約
 としてどんな条約を思い浮かべますか?


 女性差別撤廃条約?
 障がい者の権利条約?
 ILO関連の条約?
 核兵器関係の条約?


 いずれにしても、ここでも、国民の不断の努力(12条)が関わってきますね。

以上

2017年9月7日木曜日

やや日めくり憲法97条(基本的人権は永久の権利)


97

この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

 

「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」

「過去幾多の試練」

とても思いのこもった言葉ですね。

97条は、熱く語りかけるような、ハートに訴えるような趣があります。

「めちゃめちゃ大変だったんですよ。いっぱい失敗したんですよ。で、やっとここまでたどり着いたんですよ。なんとかよろしくお願いしますよ。」

みたいな感じです。

人類の歴史を遡れば、権力者のわがまま勝手によって、人間らしく生きることを許されなかった人がたくさんいます。

一人ひとりみんなが人間らしく生きられるように、権力を法で縛っておく、という立憲主義憲法には、人類の叡智が詰まっているのです。

 

この97条、自民党改憲草案ではどう変わっているでしょうか?

なんと、全部削除されているのです!

97条が削除されると、どうなるでしょうか?

 

97条の意味するところは、次のようなことです。

  1. 「基本的人権は・・・信託された」との表現から、人間が生まれながらにして天から信託されたもの、という天賦人権説、自然権思想を示している。
  2. 97条は、「第10章 最高法規」の章の冒頭に置かれており、憲法が最高法規であることの実質的な根拠を示している(通説)

 

まず、①の天賦人権説、自然権思想について。

人権とは、人間として生まれた以上当然に天から与えられているもの、とされています。

この天賦人権説・自然権思想を示すのが、11条「基本的人権は・・・与えられる」と、97条「基本的人権は・・・信託されたもの」です。

 

《日本国憲法11条》

国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

 

11条と97条、2つあるので1つが削除されても実害はないかもしれません。

しかし、自民党改憲草案は、11条末尾を「・・・永久の権利である。」に変えています。

その理由について、「自民党憲法改正草案Q&A」には、

「天賦人権説に基づく規定を改める必要があるから」

と書かれています。

つまり、自民党草案では、天賦人権説の根拠規定を2つとも無くして、天賦人権説をやめましょう、ということになっています。

天から与えられるのでなければ、誰が与えるのでしょうか?

自民党改憲草案は、まず「国」があって、国が、おまえら国民に権利を与えてやるのだ、国の都合で制限できるのだ、という考え方をしているように読み取れます。

「そもそも人権とは」という、憲法の出発点が、まるっきり違うのです。

「自民党改憲草案Q&A」には、97条削除の理由について「11条と重複しているから」という説明が書かれています。

しかし、重複しているとしても両方削除してはいけません。

自民党草案は、基本的人権を制約するどころか、基本的人権という概念そのものを破壊しようとするものです。

 

次に②の最高法規性について。

最高法規性については、97条が示す「実質的な根拠」よりも、最高法規としての「形式」「手続」を示す96条、つまり憲法改正手続が厳格であることの方が重要です。

憲法は、改正しにくいからこそ最高法規なのです。

ところが、自民党改憲草案96条は、憲法改正の発議要件「3分の2」を「過半数」に変えており、憲法の最高法規性を大きく失わせています。

これに加えて97条も削除しているので、ますます問題だということになります。

 

憲法が憲法じゃないようなものに変わってしまわないように、私たちが「不断の努力」をしていきましょう。

前原代表が野党合意の見直しを指示…え、改憲の土俵に乗るの?


 北朝鮮がミサイル撃ったり、核実験したり、看過できない平和への
挑戦が続きますね。
 でも、自信たっぷりに北朝鮮の動きを「完全に把握していた」と言い
ながら、それを国民に事前に知らせることなく、めっちゃくちゃ広域に
Jアラートのサイレンを流すっていうのは、「大げさ」というか「無駄に
不安をあおってる」気がするのは私だけでしょうか…?


 国民に「冷静に考えさせてくれない」権力というのは、理性や知性を
軽んじているように感じるのですが、そういう権力に高度な国内外の
政治の議論の舵取りができるとは思えません。


 さて、安倍首相が5月に突如「自衛隊を憲法に明記しよう」案を言い
出して、謎の“急ぎ足改憲”を進めようとしている件について、民進党の
前原代表の発言が、気になります。

● 前原代表、野党4党合意見直しへ 改憲反対「話通らぬ」(朝日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170906-00000085-asahi-pol


 前原代表は民進、共産、自由、社民の野党4党で合意した「安倍政権
下での憲法9条改悪に反対する」との方針を批判し、新執行部に対し、
合意の是非を含めて見直すよう指示したことを明らかにした、とのこと…。

 いわく「安倍さんの下での憲法改悪の議論には応じない、と。これでは
話が通らない。憲法についてはビジョンを示し、堂々と議論する」。
 
 あれ…(-_-;) 民進党までもが、「とにかく改憲する」という土俵に乗る
つもりなのでしょうか?
 立憲主義・民主主義・国民主権・三権分立など、近代民主主義国家の
土台となる思想を次から次に否定するかのごとく、特定秘密保護法、
安保法制、共謀罪、と次から次に作り上げて国家の骨組みを崩す安倍政権。
 民主主義とか、人権尊重とか、そんな基本的な価値観が根本的にちがう、
ちょっと民主主義国家の政権としてはマズすぎる方々の下で、私たち国民
の憲法をイジられてはたまらない、という警戒は、ごくごく常識的なものの
はずです。

 超特急で憲法を変える必要は、どこにもなく、国民大多数からの「とにかく
憲法を変えなければ」という声というのもありません。

 ましてや「どこでもいいからとにかく憲法を変えよう」という現政権の姿勢
は、憲法にしばられている側の発想としては決定的に間違っていると言わ
ざるを得ません。憲法は私たち国民が権力を縛るためのものです。
権力側からの強い改憲の意欲、には最大級の警戒で向き合うべきです
よね。


 しばしば改憲を強く求める方々から「野党は批判ばかりで対案がない」
という批判・非難・罵倒がありますが、これって、正論っぽく聞こえるようで、
おかしな言い分です。
 めちゃくちゃな提案があった時に、なぜ「それおかしいよ、そんな法律
要らない」と反論してはいけないのでしょうか。わざわざ対案を出すよう
なレベルの話ではない時には、「要らない」のひと言で済むはずです。

 それを同じで、めちゃくちゃな改憲の提案があれば、堂々と、「そんな
改憲は不要です。今の憲法でじゅうぶんです」と反論すればいいだけです。
対案など出すまでもない…これでいいのではないでしょうか。
 なのに、「これでは話が通らない」って…
 なんで?
 なんで?
 なんでーー?


 与党は「対案を出さないのがおかしい」という空気を充満させようと必死です。
 それに流されて「た、対案出さないと人気が落ちそうな気がする…」と慌てて
対案を出すことで、なにが生まれるでしょうか。ますます「もう、とにかく憲法を
変えるという結論は決まってる」という歪んだ謎の風が吹き荒れるだけです。

やや日めくり憲法96条 (憲法改正)


<日本国憲法96条>
1 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2
 以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に
 提案してその承認を経なければならない。
  この承認には、特別の国民投票又は国会の定め
 る選挙の際行はれる投票において、その過半数の
 賛成を必要とする。

2 憲法改正について前項の承認を経たときは、

 天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すもの
 として、直ちにこれを公布する。


 「第9章 改正」には条文が1つだけあります。
 つまり憲法96条が、憲法改正について定めた唯一の条文ということに
なります。


 96条1項は、憲法改正には、①「各議院〔衆議院及び参議院〕の3分の2
以上の賛成」による国会の「発議・提案」と、②「特別の国民投票又は国会の
定める選挙の際行はれる投票」における国民の過半数による「承認」とが
必要であると定めています。


 つまり、日本国憲法を改正するためには、法律を制定・改正する場合とは
異なり、国会(衆議院及び参議院)の過半数だけでは足りなくて、衆議院及び
参議院の双方について3分の2以上の賛成を得なければならず、その上、
国民投票で過半数を取ることまで要求されているのです。


 また、憲法改正の場合には法律を制定・改正する場合とは異なり、「衆議院
の優越」は認められていません。つまり、衆議院で3分の2以上の賛成を得ら
れても、参議院で3分の2以上の賛成を得られなかった場合には、憲法改正
について国民投票にかけることが出来ません。

 96条2項により、憲法改正が成立した場合(国民投票でも過半数の賛成を
得られた場合)には、天皇によって「国民の名で、この憲法と一体を成すもの
として」直ちに「公布」されることになっています。


 1947年5月3日の憲法施行後、国民投票に関する具体的な手続法は長期
にわたり存在しませんでしたが、2007年に「日本国憲法の改正手続に関する
法律」(憲法改正国民投票法)が制定され、2010年に施行されました。
 この法律には、憲法改正の国民投票に関する手続が詳細に定められていま
すが、国会の発議後、早いと60日で、長くても180日で国民投票が行われます。

 また、最低投票率の定めはなく、有効投票総数の過半数の賛成を得られたら、
憲法改正が成立することになっています。
 つまり、国会の発議があったら、改正案についてじっくり考える間もなく、国民
投票をしなくてはならないかもしれないし、投票率が20%であっても、わずか
10%ちょっとの有権者が賛成すれば憲法が改正されてしまうことになるわけ
です(>_<)。
 なお、2014年の法改正によって、来年(2018年)6月21日から18歳、19歳
の国民にも国民投票の投票権が認められることになりました。


 ところで、改正手続をクリアしさえすれば、およそどのような内容の憲法改正
でも認められるのでしょうか…?
 この問題は、「憲法改正の限界」として、長年にわたり議論されてきたテーマ
です。憲法改正に限界があると考える立場、限界はないと考える立場の双方
から様々な主張がなされてきましたが、現在では、憲法改正には限界があると
考える立場が通説とされています。


 それでは、憲法96条や国民投票法の手続に従ったとしても、改正することの
できない“限界”とは、具体的にはどのようなものでしょうか。
 この点についても様々な学説がありますが、権力分立や基本的人権の尊重
という「立憲主義の根本原理」や「国民主権の原理」、「憲法改正規定の実質」
(つまり、国会による発議の3分の2要件や、国民投票の存在など)については
改正できないという立場で概ね一致しているようです。


 2012年12月に第2次安倍政権が発足してからしばらくの間、同政権によって
「まずは憲法96条を改正して、国会による発議の要件を3分の2から過半数に
緩和しよう」という主張が繰り広げられましたが、憲法学の立場からすれば、
これは憲法改正の限界を超える、つまり憲法違反の疑いの濃い主張だった
わけですね。
 (結局、多くの憲法学者を筆頭に国民の猛烈な批判に合い、この96条変え
ようキャンペーンは失敗に終わりました。立憲主義、という言葉が知られるように
なるきっかけになる出来事でした。)


2017年9月5日火曜日

やや日めくり憲法 95条(一の地方公共団体のみに適用される特別法)


 ほかのエリアではどうなのか分かりませんが、少なくとも
東京では、夏がフェードアウトどころかシャッターを閉めた
ような去り方をしました涼しいというか、肌寒くありません
(^^;)


 さて、今日は9月5日ですので95条を見てみましょう。





<日本国憲法95条>
 一の地方公共団体のみに適用される特別法は,
法律の定めるところにより,その地方公共団体
の住民の投票においてその過半数の同意を得な
ければ、国会は,これを制定することができない。



 …弁護士にとってもなかなかマニアック,と言える条文でしょうw。


簡単にいえば、特定の地方公共団体にだけ適用される,いわゆる
「地方自治特別法」というものを作る際には,住民投票で過半数の
同意がいりますよ,ということが書かれています。



 国全体の利害を代表する国会が,特定の地方だけに適用される
法律を自由に作り放題,ということでは,各地方自治体が有する
「地方自治権」が侵害されるおそれがあること,また,地方公共
団体の個性を尊重することなどがこの条文の趣旨といわれています。



 素朴な疑問として「実際にこの条文に基づいて「地方自治特別法」
が作られたことってあるの?」というのが湧いてくるかと。


実は、これがあるんです!


代表的なものとして「広島平和記念都市建設法」を紹介します。



 原爆投下により甚大な被害を受けた広島市の復興は,人口の急減・
税収の激減により,困難を極める状況でした。


 広島市は国に対して各種の援助を要望しましたが,他にも深刻な
被害を受けた都市が多数ある中で,広島市だけに特別な財政的援助
を与える,という決定はなかなかされませんでした。


  そこで広島で考えられたのが,この憲法第95条による特別法の
制定です。


 広島市、市議会、広島選出国会議員など多くの方々の努力により,
1949年5月,特別法「広島平和記念都市建設法」が衆参両院満場
一致で可決されました。


 条文にあるとおり,特別法の制定のためにはその地方公共団体の
住民投票で過半数の同意を得ることが必要であるため,同年の7月
7日に住民投票が行われ、圧倒的多数の賛成を得たようです。


  広島市では「この法律により広島市を世界平和のシンボルとして
建設することが国家的事業として位置づけられた」として,ウェブ
サイト等で制定の経緯等につき詳しい解説がなされています。








 他にも,同様に日本国憲法制定まもないころに,計18都市で
同様に「○○都市建設法」が制定されており,あたらしい憲法を身近
で活かそう!というムードが全国にあったことがうかがえますね。



 現在では、たとえば沖縄の辺野古に新たな米軍基地を作る、という
ことについて、こんな大変な負担を特定の地方自治体に押しつける
という決定を、国会の多数決だけで決めて言い訳がなく、憲法95条
に基づく住民投票が必要なのではないか?、という議論もあります。

2017年9月4日月曜日

やや日めくり憲法94条 地方自治の特徴

94条は、「第8章 地方自治」の3つめの条文です。



「第九十四条

地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。」



「地方自治」には、①住民自治 と ②団体自治のつの特徴があるといわれており、94条は②団体自治 の現れです。

住民自治というのは、そのまちに住んでいる住民が自分達のことは自分で決めますという民主主義的要素のことです。

団体自治というのは、中央政府に権力が集中しすぎることを防止するため(権力の暴走に歯止めをかけるという発想に基づくシステムですね)、地方自治が、国から独立した団体にゆだねられ、団体自身の意思と責任でなされる、ということです。



 ちなみに明治憲法には、地方自治についての規定がなく、すべて法律で定められていました。権限と人事の面で、国の監督権が強く認められていたのです。

そんな明治憲法と違い、今の憲法では、地方公共団体がどんなことをできるのかという権限を明記していて、それが94条というわけです。



地方公共団体は、「法律の範囲内で条例を制定」することができます。条例というのは、地方公共団体が自主的に定めるルールのことです。

それぞれの地方によって、同じテーマについても違う内容の条例があって、地域差が出てくる、ということがありますね。日本国憲法自身が、地方自治体がその地域の実情に合わせて条例を作ることを認めているので、地域差が出てくることはしょうがないのだ(平等原則に反しない)というわけです。



ところで、2012年4月に発表された自民党憲法改正草案では、地方自治の章でも色々と今の憲法にはない条文を作ったりしています。

 改正草案93条3項には「国及び地方自治体は、法律の定める役割分担を踏まえ、協力しなければならない」という条文があります。法律を決めるのは国です。「役割分担」という名の下に、国の決めたことに地方自治体が従わざるを得なくなるような、地方自治体の独立性を侵害するような方向性がもしも潜んでいるとしたら、警戒してしまいます。

たとえば、辺野古の基地建設問題のように、国と沖縄県が対立しているような場合がありますよね。改憲草案のような憲法になったとき、県は、国の方針がどんなに住民に被害を与えるものであっても国に従わなければならない、なんてことにならないでしょうか。

それは、地方自治を無視するに等しいものではないでしょうか。