災害でこそ「健康で文化的な最低限度の生活」を

かつては考えられなかったような規模の災害が、ここ最近、頻発しています。改めて、被災された方々に謹んでお見舞いを申し上げます。

 大災害を目の前にしたら、憲法なんて何の役にも立たないじゃないか、と思われてしまうかもしれませんね。
 けれど、不自由な避難生活を送る方々には、ぜひ憲法や人権について知っておいていただきたいことがあります。
それは、「人間らしい暮らし」を求めることは、被災したときであっても、ワガママでもぜいたくでもない、ということです。

 憲法13条は、すべての人が「個人」として尊重される、と規定しています。
 国民が大災害で家を失い、財産を失い、「日常」が奪われた時、国家はどうすべきでしょうか。「残念でしたね」とだけ声をかければいい?そんなはずありません。
 憲法25条は、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障しています。国民は「尊厳が守られる豊かな生活を保障してくれ」と国家に求めることができます。
 被災したときでも、というより被災したときだからこそ、国家が「健康で文化的な最低限度の生活」を保障しなくてはならないのです。

 国際赤十字は、「災害や紛争の避難者には尊厳ある生活を営む権利があり、援助を受ける権利がある。」「避難者への支援については、第一にその国の国家に役割と責任がある。」と宣言しています(「人道憲章と人道対応に関する最低基準」)。
 避難者について、まさに「個人の尊重」から語っているわけです。

 災害時であっても、個人として尊重され(憲法13条)、「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)が保障されることは、憲法で守られているといえます。ですので、これでは「今はガマンしなければならない時なんだから多少の不満があっても文句言うな」「普通の暮らしを求めることは贅沢だ」という見えない圧力に押しつぶされそうになる必要はないのです。

被災してお困りの方へ(お役立ち情報)

 西日本豪雨災害で被災したみなさん、こんなことにお困りではないでしょうか?

  • 住宅ローンがまだ残っているのに、洪水で家が壊れてしまった。
  • 浸水で家具が使えなくなってしまったけれど、保険金はおりる?
  • いろいろな所への支払が滞っているがどうしたら良いかわからない。
  • 避難所での生活に困っている。
  • 行政からどんな補助があるのかわからない。
  • そもそもどこに相談してよいのかわからない。

 弁護士は、被災者のそんなお悩みに対応しています。

 これも、憲法で保障された「個人の尊厳」や「健康で文化的な最低限度の生活」といった人権を守るための、大切な活動なのです。

 広島弁護士会、岡山弁護士会、愛媛弁護士会は、豪雨災害にかかわる法律相談を、弁護士が無料で行っています。

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  • 広島
    広島弁護士会の相談センターで、豪雨災害に関連する法律相談が無料になります(8月31日まで)。
    広島県内からナビダイヤル(0570-783-110)で最寄りの法律相談センターにつながります。
    詳しくは広島弁護士会のHP(https://www.hiroben.or.jp/news_info.php?newsid=1135)へ
  • 岡山
    8月7日(火)@岡山市東区
    8月9日(木)@倉敷市水島
    8月10日(金)@倉敷市真備町
    8月21日(火)@総社市久代
    8月30日(木)@総社市中央
    詳しくは岡山弁護士会のHP(http://www.okaben.or.jp/)へ

【被災者支援チェックリスト】※PDFファイル

 災害時特有の問題ってどんなものがあるの?どんな支援制度があるの?といった情報がまとめられています(広島弁護士会作成)。

クリックして被災者支援チェックリスト.pdfにアクセス

 ほかにも、災害に関する情報を各弁護士会のホームページで発信しています。ぜひご覧ください。